深淵探訪

これは友達の友達から聞いた話

都市伝説:赤いクレヨン

この都市伝説も出所ははっきりしているものなのですが、いつの間にか自分の体験談や、知りあいの体験談として流布させるようになり、都市伝説化した、と言う経緯を持つもので、非常に興味深い都市伝説として語られています。


赤いクレヨン

ある夫婦が郊外の一軒家を購入した。

中古の物件だったが、非常に状態が良く、価格も手ごろだった。不動産会社から特別な告知もなく、インターネットで調べても、事故や事件が起きたという記録は見つからなかった。

引っ越しの挨拶の際、隣家の住人にさりげなく前の住人について尋ねてみると、非常に評判の良い女性だったという。

「前の家主さんは、とても素晴らしい方でしたよ。旦那さんとは離婚して一人暮らしでしたけど、地域のイベントにもよく顔を出して、みんなに親しまれていました。」

どうやら、両親の介護を理由に田舎へ帰ったとのことだった。

その話を聞いた夫婦は、安心して新しい生活を始めた。しかし、引っ越しからしばらくすると、家の中で奇妙な出来事が起こり始めた。

最初に気づいた異変は、夜中に聞こえる子どもの泣き声だった。初めは、近所の家から聞こえてくるものだと思っていたが、よく調べてみると、この周辺には小さな子どもがいる家庭はほとんどなかった。声の発生源はどうも家の外ではなく、中から聞こえているようだった。

さらに不気味なことが起きた。ある日、廊下に赤いクレヨンが落ちているのを見つけたのだ。夫婦には子どもはいないし、知人が子どもを連れて訪れたこともない。不思議に思いながらも、その日はクレヨンを片付けた。ところが数日後、また同じ場所に赤いクレヨンが落ちていた。

何度も同じことが繰り返されるうちに、夫婦は次第に不安を感じるようになった。

「流石におかしいな……」と夫がつぶやく。赤いクレヨンが落ちていたあたりを注意深く調べていると、どうも間取りに違和感があることに気づいた。廊下からは気づきにくいが、両隣の部屋の形が微妙にいびつで、クレヨンが見つかるあたりに小さな空間が隠されているようだった。

夫が壁をコンコンと叩いてみると、確かにその奥には空洞があるような音が返ってきた。さらに、壁紙をよく見ると、その部分だけ後から貼られたような不自然な跡があった。

「もしかして、ここに隠し部屋があるんじゃないか?」

夫婦は意を決して壁紙を剥がしてみることにした。

壁紙を剥がすと、そこにはドアノブの外された小さな扉が現れた。扉を無理やりこじ開けると、その向こうには薄暗い空間が広がっていた。部屋には電気が通っておらず、懐中電灯で照らさなければ何も見えない。

夫婦が光を壁に向けた瞬間、思わず息を呑んだ。

隠し部屋の壁一面に、赤いクレヨンで書かれた文字がびっしりと埋め尽くされていた。そこには、何度も繰り返し書かれた同じ言葉が並んでいた。

「おかあさん、ごめんなさい、ここからだして」

その文字は、小さな子どもの手で書かれたものだとわかった。壁の隅々まで同じ言葉で覆い尽くされており、異様な光景だった。

夫婦はすぐに警察に通報した。調査の結果、前の家主には生きていれば10歳くらいになる子どもがいたことがわかった。しかし、その子どもについては、どこにいるのか行方がまったくつかめないという。近所の住人たちも、子どもの存在については何も知らなかった。

さらに、家主が田舎に帰ったという話も確認されたが、実家に彼女の姿はなく、両親もすでに他界していた。前の家主自身も現在の居場所はわからないままだった。


ウィキペディアから引用となりますが、起源については以下

流布し始めたのは1980年代終わりから1990年代初めで[1]、この話は「怪談の完全創作」を趣味の一つとしているタレントの伊集院光が、1997年頃に『山田邦子のしあわせにしてよ』内の怖い話企画で発表したものである[2][3][信頼性要検証][疑問点 – ノート]。この話を聞いた視聴者の中に、自分の体験した恐怖体験として雑誌投稿などをする者が現れ、やがて「友達の友達の体験」といった口コミに尾ひれがついて拡大して行き、次第に都市伝説として定着していった。

噂の流布に伴い、創作者を知らない人も多くなり、伊集院自身も仕事関係者から都市伝説としてこの話を聞かされたことがあったと話している[4][信頼性要検証]

伊集院光氏は他にも創作した怖い話が都市伝説として出回っていますね。

面白い話もそうですが、怖い話もこの方は非常に面白く人を惹きつけるので流布されるというのもあるのでしょう。

ただ、怪異が起きる→調べると隠し部屋→何かがあったかもしれない という流れは、実は海外でもある話。日本でも昔は座敷牢があったりしたのでこうした話はもしかしたら何処かで聞いたのかも知れないですね。

最近の物ですが、Netflixの「ホーンテッド」と言う海外の超常現象を紹介する番組で、「呪われた山小屋」と言う話も、小屋で怪異が起きて調べると隠し部屋が・・・と言う話があります。細かな所では違いますが、エンジンとしては同じだと思います。

恐らく自然発生しやすい怖い話の流れなんでしょう。もちろん霊的なものがないとは言い切れないですが・・・少なくとも日本で出回っている話は作り話から都市伝説に昇格したものです。

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