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都市伝説:ルージュの伝言

この都市伝説は、恋愛や夜遊びのシチュエーションで展開され、特に80年代から90年代にかけて若者の間で広く語られていました。この伝説の中心にあるのは、まるで映画やミステリー小説のようにショッキングで印象的な「ルージュ(口紅)のメッセージ」です。

もしかしたら、都市伝説などが好きな人には、「エイズ・メアリー」という名の方が聞き覚えがあるかもしれません。「ルージュの伝言」は日本で呼ばれることがおおく、「エイズ・メアリー」は主にアメリカで呼ばれることが多いのですが、差別的な要素が多く現代には似つかわしいと思い、ストーリーは「ルージュの伝言」の亜種を紹介することにしました。

ルージュの伝言

ある夜、男がバーで一人寂しく飲んでいた。振られたばかりで半ばやけ酒だった。

彼がふと横に目をやると若く美しい女性が一人お酒を飲んでいる。憂いた表情が気になり、男は声をかける。

女性は声をかけられた事に戸惑いを覚えたようだったが、すぐに男と打ち解けた。いや、途中からはどちらかというと彼女から積極的に男との距離を詰めていた。

男と女はすっかり意気投合し、一夜を過ごす事になる。

男は、あぁ、俺はついてる、こんな女性を抱けるなんて。と果てた後の安堵感と心地よさの中で眠りにつく

目が覚めるとひどく気分が悪かった、体がうまく動かない。声もうまくだせない。

かろうじてあたりを見回したが、女性の姿はなかった。しかし、化粧台の鏡に赤い文字で

腹部に違和感を覚えて恐る恐る見てみると、包帯が巻かれている。その後、何とか救急車を呼んで病院に運ばれた男は驚愕した。なんと腎臓が一つ取り出されていたのだ。

流行した背景

本来この話は、目が覚めると鏡には「Welcome to the AIDS Club」(エイズクラブへようこそ)と書かれています。

この都市伝説が広まった背景には、1980年代から1990年代にかけて、エイズに対する恐怖や誤解が大きく影響しており、当時、HIVやエイズに関する情報は限られており、誤った知識や偏見が蔓延していました。エイズは死に至る病であり、治療法がないという恐怖が人々の間に強く根付いていた時代でもありました。現代では、投薬による治療を行えば健常者とほぼ同じ寿命を迎えられるようになり、症例は少ないですが病気が寛解した人もいるので、昔とは状況が変わっています。

また、実際にHIV陽性者が他人に意図的に感染させるという事件が非常に稀であるにもかかわらず、この伝説はエイズへの恐怖をさらに助長する形で語り継がれていました。

日本では、1998年に深田恭子主演の「神様、もう少しだけ」というドラマがHIV感染をテーマにし、最終的にヒロインが死んでしまうという話があったので、そう言ったことも背景にあったのかもしれません。

そう言ったことも経緯があるため、内容は亜種の「勝手に内蔵を売られてしまう」というタイプのものにしました。

また、メアリーという名前も、悲しい背景があり、現代にはそぐわないなと個人的に感じています。

メアリーという名前

由来になった「メアリー・マローン」は実在する人物で、彼女は腸チフスの不顕性感染のまま腸チフスを拡散させ続けた事で人生の大半を隔離され、迫害された悲しき人物なのだが、意図的に拡散させたという意味で、エイズメアリーと言う名前が付けられているようです。

個人的には、メアリーが生きていたのは、1800年後半から1900年初頭と大分前で、医学も現代と比べると未知の事が多く、彼女は「不運な社会的被害者」な面が強く、都市伝説の名前に使われることは、合わないのではないかと考えています。

まとめ

この都市伝説は、内臓を取られるにしろ、病気にしろ売春行為やナイトクラブなどで知り合った異性との行為の危険性の警鐘だと考えています。

しかしながら、令和の日本においては、そう言った出会いからの梅毒感染の増加が問題になっています。

都市伝説は、時代ごとに変化し旅をする性質があるので、もしかしたら、現代の日本では、すでに性病に関わる都市伝説が生まれ変わっているのかもしれない。もしそう言った話を聞いたとき、大切なのは、恐がる事より、なぜそう言った話が出回るのか、という事を慎重に考える事ではないでしょうか。


おすすめの書籍

都市伝説の話しを読みたいなら、日本人なら、松山ひろし氏の書籍が面白いと思います。

昔webサイト「現代奇談」を良く読んでいました。そちらのサイトは閉鎖されてしまっていますが、書籍がいくつかでているのでオススメです。

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民族学的に学びたい場合は、ジャン・ハロルド・ブルンヴァン氏の書籍が面白いのですが、日本語のKindle本や、そもそも書籍も手に入り辛いのが残念。もし、興味があったら古本などで探して購入してみても面白いと思います。

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