昔の百物語や怖い話の現代語訳をしてみようかと考え始め、まず江戸時代の諸国百物語からやっていこうかと思いました。昔の怖い話を知ると現代の怖い話とリンクする部分もあり、色々と見えてくるものがあって、諸国百物語だけではなく色々と調べていると面白いですよ
現代語訳:序
もともと、この「百物語」の起源を探ると、信州の諏訪という場所に武田信行という浪人がいた。
ある夜、雨の中の退屈な時間を過ごしていた旅の若侍三、四人が集まり、世間話の延長で信行がこう言った。
「昔から百物語をすると、必ずその場で不思議なことが起こると言われている。さあ、今夜それをやって試してみようじゃないか」と。
そこで皆が円になって座り、中央に灯芯百本を立て、火を灯して語り始めました。話が一つ終わるごとに灯芯を一本ずつ消していったのですが、すでに話も九十九に達し、灯芯も残り一本というところで、何やら不気味な気配が漂い、天井から大きな岩が落ちてくるような轟音と共に灯りも消えてしまいました。
驚く皆を尻目に、信行は落ち着いて「心得ている」と言いながら何かを抑えつけ、「化け物を仕留めたぞ。これは大きな人の股だ。灯りをつけろ」と言いました。
そこで皆が灯りを点けて確認すると、なんと、仲間の侍の股を抑えつけていたのです。
全員が大笑いして解散しました。
そのときに書き記された話が書物となり、今では世間に広まり、老若男女の楽しみとなっています。以前から百物語と名のつく書物もありましたが、それらは子供向けのおもちゃで、出所が不確かでした。
今のこの書物は、各地で聞き伝えられ、見聞された証拠の確かな話を集め、全五巻として「諸国百物語」と名付けました。
所感
江戸時代中期には「百物語怪談会」が庶民の間で盛んに行われ、寺社や宿場町、町民の集まりなどで百物語が催され、怪談が一種の娯楽として浸透していたとのことで、「諸国百物語」もそんな話好きの浪人達が集まり持ちよった話をまとめたものだそうです。
序だけ見ると何だかほんわかした怖い話に見えますが、実際はかなりグロくて怖い話が多いと思います。