深淵探訪

これは友達の友達から聞いた話

都市伝説:紫鏡

「こっくりさん」や「水鏡」のような占いや啓示系のものとは違い、言葉を覚えていると災いが降りかかるという、不幸の手紙と同じいきなり参加させられてしまう話で、しかも20歳と言う時限付き。信じやすいティーンエイジャーを狙った、ある意味趣味の悪い都市伝説とも言える。すごい簡単な呪いの一種だと思う。


紫鏡のささやき

「紫鏡…紫鏡…」その言葉が頭をよぎるたびに、A子は心の奥底から恐怖に襲われていた。子供の頃に耳にした、紫鏡の都市伝説——「この言葉を覚えたまま20歳を迎えると死んでしまう」という不気味な話。その記憶はA子の中に深く根付き、どんなに月日が経っても消えることはなかった。

A子の様子を見て、B子はいつも気楽に言い聞かせていた。

「気にしすぎだよ、A子!そんなの迷信に決まってるって。20歳になる前には絶対に忘れてるよ」

しかし、A子の不安はどうしても拭い去れなかった。ふとした瞬間に「紫鏡」という言葉が浮かぶたび、胸がざわつき、心が冷たく締め付けられるのを感じるのだ。

新しい年が明けた元旦、二人は初詣に行くことにした。新年の幸せを祈ろうと、神社への参道で待ち合わせをすることにしたのだ。冷たい朝の空気が張り詰め、道には新年を祝う人々が賑わっていた。

B子が待ち合わせ場所に着き、遠くからA子の姿を見つけた。A子もB子に向かって手を振ったその瞬間、突然、苦痛に満ちた表情を浮かべ、倒れ込んだ。

「A子!」B子は叫び声を上げたが、あまりの恐怖に足がすくみ、その場から動けない。そのとき、不意に耳元で冷たい声が囁いた。

「残念、死に神は気まぐれ。あの子は数え年で20歳だからね…」

その声は凍りつくような冷たさで、B子の耳に響いた。振り向くと、そこには誰もおらず、ただ冷たい風が吹き抜けるばかりだった。

後にB子は、自分たちが数え年で20歳とされる年齢であったことを知り、彼女の恐怖が現実となったことを理解する。だが、B子自身は同じ年齢でありながら、言葉を覚えていなかったから呪いから逃れていたのだ。

それ以来、B子は「紫鏡」の呪いに対する恐怖を忘れることなく、A子が恐れていたものが確かに存在したことを心に刻み込んだのだった。


まとめ

1970年代から1980年代、日本ではオカルトブームがあり、特に若者や子供たちの間で怪談や都市伝説が一種の娯楽として広がりました。怖い話や呪いに関する伝説は学校や公園で語り継がれ、その過程で「紫鏡」のような言葉に特定の年齢と結びついた呪いが組み合わされ、物語が形作られたとされています

冒頭にも書きましたが、「不幸の手紙」などと同じで、いきなり参加させられると言う点で面白いけど趣味の悪い都市伝説とも言えます。が、それゆえにインパクトもありますね。

「不幸の手紙」より良いのは、友達がいなくとも呪いを解く事ができる、という点ですかね。まぁ、もっともそんな呪いはないのですが。


おすすめの書籍

都市伝説の話しを読みたいなら、日本人なら、松山ひろし氏の書籍が面白いと思います。

昔webサイト「現代奇談」を良く読んでいました。そちらのサイトは閉鎖されてしまっていますが、書籍がいくつかでているのでオススメです。

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民族学的に学びたい場合は、ジャン・ハロルド・ブルンヴァン氏の書籍が面白いのですが、日本語のKindle本や、そもそも書籍も手に入り辛いのが残念。もし、興味があったら古本などで探して購入してみても面白いと思います。

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