この話は、1960年代のアメリカで生まれたもので、ジャン・ハロルド・ブルンヴァン氏の著書に記されています。日本では特に1980年代後半から1990年代にかけて広く語られたそうです。
自分は確か、テレビのホラー特集で再現VTRを見て「怖っ」と思った記憶があります。
では、ストーリーを
ボーイフレンドの死
ある夜、彼と一緒にドライブをしていた彼女は、彼が「トイレに行きたい」と言い出したため、近くにあった古びたコンビニに立ち寄ることにしました。周囲は鬱蒼とした森で、まるでこんな場所にコンビニがあるのが不思議なくらいでした。
彼は「すぐ戻る」と言い、少し離れた場所に車を停めてコンビニに向かった。彼女は車で待つことに。念のためドアをロックし、彼が戻ってくるのを待っていましたが、一向に姿を見せません。
しばらくしてコンビニの電気が消え、従業員らしき男性が店から出てきました。彼女は急いで駆け寄り、「彼が戻ってこないんです!」と伝えますが、彼は冷淡に「お客様は誰もいませんでしたよ」と返答します。
それでも彼女は食い下がり、「トイレに行くと言ってたんです!」と主張しました。すると、ため息をついた従業員は、「それならトイレを確認してください」と彼女を案内しました。
恐怖を感じつつ、彼女はトイレに向かいます。しかし、そこには彼の姿はなく、ただ冷たい空気が漂うのみ。
戻ると従業員は無言で施錠し、「では、お帰りください」とだけ言い残し、去っていきました。
彼女は不安と恐怖を抱えたまま車に戻り、再びドアをロックして息を潜めます。スマホを手に取りますが、電波が届かず、誰にも連絡が取れません。
「朝まで待とう」と決心し、身を縮めていると、ふいに車の上から「ざっ、ざっ」という何かを擦るような音が聞こえてきます。その音に彼女は震え上がり、思わず「なんなの、もう!」と叫び声を上げました。それでも何とか耐え抜き、朝を迎えます。
夜が明けると、音は消え、ようやく静けさが戻りました。彼女が辺りを見回すと、昨日と同じ無機質で古いコンビニがそこに立っています。そして、あの従業員が再び姿を現し、ニヤニヤと笑いながら彼女に近づいてきました。
彼は車の窓をコンコンと叩き、彼女はおそるおそる少しだけ窓を開けます。
「…何ですか?」
「まだ見てないんだね?」
「…何をですか?」
従業員は車の屋根を指差しながら、こう言いました。
「大きな木の下で停まってたからね、ゆーらゆーら揺れてるよ。彼氏が」
彼女の心に冷たい恐怖が流れ込み、ただ言葉を失いました。
まとめ
現在でも「ボーイフレンドの死」は都市伝説の一つとして認識されていますが、ホラー作品やYouTube、SNSなどで語られることが多く、現代の新しいメディアによって形を変えています。
物語の中の車や電話といったアイテムは、現代の技術に合わせてアレンジされ、リメイクされた形で語り継がれることがよくあります。
この話はアメリカの古い伝説が元になっており、当初は古い大きな木のそばで車が止まり、彼が助けを求めてドライブインまで歩いていく、という設定でした。
日本では電柱などを取り入れる案も考えましたが、元の話に近づけるため、このような設定にしてみました。
なお、現在でもカップル間で語り合われることがあり、恐怖体験として都市伝説の一部として楽しむ人が増えているようです。特にホラー要素が強い話であるため、多くの人が怖さを求めて語り継いでいるのでしょう。
おすすめの書籍
都市伝説の話しを読みたいなら、日本人なら、松山ひろし氏の書籍が面白いと思います。
昔webサイト「現代奇談」を良く読んでいました。そちらのサイトは閉鎖されてしまっていますが、書籍がいくつかでているのでオススメです。
民族学的に学びたい場合は、ジャン・ハロルド・ブルンヴァン氏の書籍が面白いのですが、日本語のKindle本や、そもそも書籍も手に入り辛いのが残念。もし、興味があったら古本などで探して購入してみても面白いと思います。