この話は、昔『USOジャパン』という番組の中で見た記憶があります。松山ひろし氏の書籍にも書かれている話ですが、それとは少し内容が異なっています。
その理由は最後に記載するとして、まずは物語を。
窓辺に立つ女性
これは、友達の友達から聞いた話です。
終電で帰宅する男性が、ふと足を止めたのには理由があった。
古い駅の近くにある古びたマンションの一室。ベランダのそばで佇んでいる女性。
彼がその姿を見つけたのは数日前。何とはなしに改札口に向かう途中、ふと目をやると、ぼんやりと見える女性のシルエットが目に留まった。
距離もあり、部屋の明かりが点いているため逆光となっていて、表情はよく見えない。ただ、こんな深夜にどうしてと、気になってしまった。
翌朝、出勤途中にちらっと見たときは部屋のカーテンが閉まっており、女性の姿は見えなかった。しかし、再び深夜に帰宅したときには、また女性が窓辺に立っていた。
それからも、昼間は見えず、夜になると現れる女性に男性は心を奪われていった。
しかし、どうして夜になると現れるのだろう、何をしているだろうか、男性の好奇心は膨らんでいった。
ある日の事、いけないことだと思いつつ、双眼鏡をかばんに忍ばせて出勤した。
いつものように終電で帰宅すると、誰もいないホームから女性をのぞき込んだ。
「なんてことだ・・・」男は絶句した。女性は窓辺で首を吊っていたのだ。何度も双眼鏡で確認したあと、男は警察に通報した。
男は正直に部屋をのぞき込んだ事を説明した。警察も酷く落ち込む男性に対して、強くは言わず、通報に対しての礼を告げた。
「・・・ずっと思い悩んでたんだ」男が呟くと、警察は、どうしてそう思うのか尋ねた。
「いや…まぁ、今更ですね。ここ1週間くらいかな、朝と帰りの時にホームから反射的に見てしまって。昼はカーテンが閉められていたんですけど、夜になると姿が見えていたから」
男性がそう言うと、警察は訝しげに、「昼はカーテンが閉められていた?」と尋ねた。男性は、不思議そうにうなずく。
「おかしいですね。女性は確かに亡くなっていましたが、死後数日は経過していたのと、一人暮らしのはずです」警察は男性を見つめる「昼間は本当にカーテンが閉まっていたのですか?今日も?」
男性は震えながらうなずき、恐る恐るマンションに目を向けた。
まとめ
松山ひろし氏の書籍によると、この都市伝説の出所は日本の筑波大学から広まったとのことです。完成度の高さから徐々に広がっていったとされています。最初の話では、少女は空を見上げており、男性は夜空を見ているのだと勘違いしていました。そして、雨の日でも同じように見ていることを不思議に思い、部屋を訪ねると、彼女が首を吊って亡くなっていたことがわかる、という内容でした。
『USOジャパン』では少し話が変わり、少女は窓辺から男性を見下ろしているという描写になっていました。これは、首を吊っても上を向くことがないからだと言われています。
なお、疑問に思ったことがあって調べたのですが、縊死をしても首が長くなることは数日では起こらないそうです。腐敗が進めば変形することもあるそうですが、数日程度ではそうならないため、窓辺から姿がフェードアウトするようになったら、おそらく他の住民が通報しているはずだ、ということです。
そのため、サイトで紹介する話は、少し怪談っぽくアレンジしてみました。いかがでしょうか。
おすすめの書籍
都市伝説の話しを読みたいなら、日本人なら、松山ひろし氏の書籍が面白いと思います。
昔webサイト「現代奇談」を良く読んでいました。そちらのサイトは閉鎖されてしまっていますが、書籍がいくつかでているのでオススメです。
民族学的に学びたい場合は、ジャン・ハロルド・ブルンヴァン氏の書籍が面白いのですが、日本語のKindle本や、そもそも書籍も手に入り辛いのが残念。もし、興味があったら古本などで探して購入してみても面白いと思います。