深淵探訪

これは友達の友達から聞いた話

都市伝説:死体洗いのバイト

自分が高校生だったころにも言われていた話。

恐ろしいけれども、高額なバイトなのでやってみたい、と思っていた時もありました。


死体洗いのバイト

知り合いの話なんだけど、大学生になって一人暮らしを始めた時、家賃は親が出してくれてたんだけど、光熱費とか食費、交際費は自分でバイトして稼げって言われてたらしい。

それで居酒屋でバイトしてたんだけど、大学生だから暇があると友達と飲んだり遊んだりの繰り返しで、いつも金欠。バイトの給料日前にはお金が尽きて、麦茶だけで過ごすこともあったって。

そんな時、ゼミのOBが「良いバイトがあるよ」って声をかけてきたらしい。条件は、霊感がないこととお化けとかを信じてないこと。条件に合えば、破格の時給がもらえるってことで、即答でやるって返事をしたんだって。

翌日、連れて行かれたのは大学病院の地下だった。

暗い地下の部屋には、大きな濁ったプールがあって、そこに人の形をしたものがいくつも浮かんで見えたらしい。

そこでOBが説明してくれたんだ。「簡単な仕事だよ。ホルマリンのプールに研究用の遺体を沈めてるんだけど、たまに浮いてきちゃうんだ。それを棒で沈めるだけ。ほら、あそこ」と言って、OBが長い棒を持って行って浮いてきた遺体を沈めた。「簡単だろ?」って。

その知り合いは、初日はなんとか我慢してやったみたいだけど、夜中にうめき声が聞こえたり、沈める時に棒をつかまれたりして、結局辞めちゃったらしい。でも、OBも「残念だね」くらいで、特に気にしてなかったんだとか。


まとめ

ホルマリン自体は揮発性が高く、吸い込むと危険なため、ホルマリンプールのような場所は実際には存在しないそうです。専用のホルマリンを浸ける装置はあるそうですが、バイトに任せるような仕事ではありません。

また、「プールに沈める」という描写については、以前はホルマリンを抜くためにアルコールのプールに遺体を浸す作業が行われていたそうです。しかし、それも今では専用の機械が開発され、プールで行うことはなくなったといいます。これはノーベル文学賞を受賞した大江健三郎氏の『死者の奢り』の中にそう言った仕事に従事する若者が描かれています。

では、実際に「死体洗い」のようなバイトが存在するかというと、仕事としては映画『おくりびと』で描かれた納棺士の仕事が該当するかもしれません。洗うというよりも、整えると表現する方が正確でしょう。ただし、この仕事もバイトに任せるものではないそうです。

ベトナム戦争時代(1955年–1975年)には、日本でも米兵の遺体の修復に従事した方がいたようです。これは「死体洗い」ではなく、損傷した遺体を遺族に引き渡すために縫合や傷口の処理を行うもので、納棺士に近い仕事でした。このような仕事の話は平山夢明の怖い話集に「ベトナムチーム」というタイトルで紹介されており、非常に興味深い内容でした。

こうしたエピソードが重なって、「ホルマリンプールで死体を扱う」という話が生まれたようですね。

ちなみに、出所が思い出せないのですが、ホルマリンプールを逆手に取った都市伝説として、バイトに来た人がホルマリンプールの部屋に入った際、揮発したホルマリンを吸い込んで意識を失い、そのままプールに落ちて「死体になる」という話があったのですが、詳細が思い出せずにもやもやしています。

どこだったかな・・・・


おすすめの書籍

都市伝説の話しを読みたいなら、日本人なら、松山ひろし氏の書籍が面白いと思います。

昔webサイト「現代奇談」を良く読んでいました。そちらのサイトは閉鎖されてしまっていますが、書籍がいくつかでているのでオススメです。

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民族学的に学びたい場合は、ジャン・ハロルド・ブルンヴァン氏の書籍が面白いのですが、日本語のKindle本や、そもそも書籍も手に入り辛いのが残念。もし、興味があったら古本などで探して購入してみても面白いと思います。

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