ベッドの下に・・・
これは友達の友達に聞いた話なんだけれども・・・
ある日、マンションで一人暮らしをしている女性の部屋に友人が遊びに来た。ワンルームだったけれども、それなりに広くてゆったりとした部屋。ベッドが置かれていても窮屈さは感じない。
友人は、素敵な部屋だね、と買ってきた夕食をテーブルに下ろしつつ、部屋を見回す。女性は「今日、泊まっていくでしょ?」と訪ねる。友人は、曖昧な返事をしつつ、「あのさ、さっき、お酒を買い忘れたからコンビニに買いに行こう」と行って半ば強引に女性を引っ張って外に出ていった。
女性は、「普段お酒あまり飲まないのにどうしたのさ?」と不思議そうに訪ねる。友人の顔は強ばって何かに怯えているよう。
友人はマンションから出て後ろを何度か振り向いて誰もいないことを確認する。
そして、走り出すと同時に叫ぶ。
「走って、さっきベッドの下に包丁を持った男がいたの」
友人は部屋に置かれた姿見に目をやったときに見えたのだった。
ベッドの下で包丁を持ちながら息を潜めている男の姿が。
この都市伝説のポイント
「ベッドの下」の都市伝説は、見えない場所に潜む不気味な存在への恐怖を巧妙に利用したものです。普段安心しているはずの自分の部屋やベッドが、突如として恐怖の舞台になるという点がこの話の大きな魅力です。
また、さまざまな派生パターンもあることで有名です。
たとえば、シーンは同じですが、女性は犬と暮らしていて夜中寝ている時に手を舐められて、微睡みのなかで「止めてよ」とその口を押し返す。そのまま睡魔に負けて再び寝てしまう。朝起きると血のにおいが。部屋には殺された犬と、その犬の血で「起きなくて良かったな」と壁に書かれていた。というもの。
また、同じ潜む場所が違うものもある。ガソリンスタンドで車に給油をしていると突然足に鋭い痛みを覚えた女性。下を見ると鎌を持った男が車の下から不気味な顔を覗かせていたというもの
起源もアメリカ発祥として、90年代に広まったという説と、鎌倉時代の説話集『古今著聞集』に旅人が通りがかりの空き家に泊まったところ、室内に鬼が潜んでいることに感付き、それとなく外に停めてある馬の様子を見に行くふりをして家を出て難を逃れるという、類似の説話がある。と言う説もある。
まぁ何にせよ、出所のわからない都市伝説らしい話と言える。
ちなみに、この話の面白いという点では、現実でも同様の事件が起きているということ。ベッドの下だけではなく、海外では天井裏に潜んで住んでいたなんて言う侵入者もいたり、「事実は小説よりも奇なり」のようなことも。
ただ、現実で起きたということは、もうすでに都市伝説ではなくなっているとも言える
過去に実際に起きた事件
まとめ
この話の教訓は、身近で安全だと思っている場所も、完全に安心できるわけではないという人間の根源的な恐怖を表しています。ベッドの下には「何か」がいるかもしれないという恐怖は、日常生活の中でもふとした瞬間に思い出されるかもしれません。
ベッドに入るときにふと「ベッドの下」を覗きたくなるかもしれませんが、その先には何が待っているかは誰にもわかりません。いや、ベッドだけではありません。クローゼットなど潜める隙間は至る所にあります。ほら、誰かの気配を感じませんか…
おすすめの書籍
都市伝説の話しを読みたいなら、日本人なら、松山ひろし氏の書籍が面白いと思います。
昔webサイト「現代奇談」を良く読んでいました。そちらのサイトは閉鎖されてしまっていますが、書籍がいくつかでているのでオススメです。
民族学的に学びたい場合は、ジャン・ハロルド・ブルンヴァン氏の書籍が面白いのですが、日本語のKindle本や、そもそも書籍も手に入り辛いのが残念。もし、興味があったら古本などで探して購入してみても面白いと思います。